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■超音波振動切削の原理

 一般的な旋削加工では、図1-(a)のように切削量に対する移動量Sは時間に比例します。それに対して、工具に超音波振動を与えた振動切削では、図1-(b)のように切削速度Vで加工したときの相対変位Sと工具の振動asinωtとの重畳した相対変位Pとなり、工具はCの間だけ工作物に当たり、Dの間は離れる。従って、CからDに移り変わった瞬間に大きな加速度で衝撃を加えて工作物を切削し、Dの間では次の衝突に備えて振動体に力を溜める。即ち、振動の大部分の期間Dに溜めた振動エネルギーを、短い期間Cにて工作物に衝撃的に放出していくサイクルを繰り返して、小刻みに切り屑を生成して切削していきます。そのため、以下のような特徴があります。

  1. 切削抵抗が減少する。
  2. 幾何学的面粗さが得られる。
  3. 加工温度が上がらないため、熱による歪みが生じない。
  4. 構成刃先が付着し難い。
  5. 工具寿命が延びる。

 但し、この規則的に繰り返すパルス状の力を加工に作用させるには、切削速度vに対して、
v < 2πaf(a:振動変位、f:振動周波数)
 の関係をもたせる必要があります。

図1a 図1b
図1-(a) 図1-(b)
図1 慣用切削(左)と振動切削(右)における切削エネルギーの比較

図2a 図2b
図2-(a) 図2-(b)
図2 慣用切削(左)と振動切削(右)の概念


 振動切削により加工された切削表面を拡大してみると、写真のように縦線方向に等間隔に刻まれた送りマークと、横線方向にも等間隔に刻まれたマークがシャープに見られます。
 これは規則的にパルス力が作用していることを意味し、切削速度、バイトの振動数、振幅に変化が無ければ、材質が変わっても同一の現象を示すのも振動切削の特徴といえます。

表面形状

振動切削による表面性状


■各種ノーズRの違いによる面粗度

 仕上げ面粗さRmaxは、材質が変わっても同一の値を示し、送りと仕上げ面との関係は下のグラフのように、実測値Rmaxは幾何学的に計算した値とほとんど一致します。

ノーズR0.2

グラフ

ノーズR0.4

グラフ

ノーズR0.8

グラフ

【切削条件】
被削材
S45C
切削速度
20m/min
切込み
0.1mm
チップ
TPGT1102**K(**は0.2、0.4、0.8)
材種
KC730
使用機械
NC旋盤(C004/ツガミ)
使用油剤
不水溶性
θR
θr


【参考文献】
  • 隈部淳一郎:精密加工振動切削−基礎と応用−、実教出版
  • 加工技術データファイル:事例No.16、207、3328、3340、3345、3368
    財団法人機械振興協会技術研究所
  • 株式会社太武製作所:振動切削−超音波振動を利用した旋削加工技術−、
    機械技術2001年1月号、日刊工業新聞社
  • 多賀電気株式会社:ソニックインパルスSB-150取扱説明書